カテゴリー「書籍・雑誌」の3件の記事

2007/07/15

『昼寝ネコの雑記帳』

『昼寝ネコの雑記帳』 昼寝ネコ
(クロスロード ISBN978-4-87711-303-2)

幼い頃、茶の間にあった長火鉢。脇に引き出しが数個ついていて、1つを閉めると、別の引き出しがすっと出てくる。それを閉めると、また別の引き出しが出る。繰り返し繰り返し、その引き出しで、ずいぶん遊んだ。

この本を読んでいて、その長火鉢のことを思い出した。創作短編小説から始まって、映画、音楽、本、世の中のこと、家族のこと・・・次々と開かれる様々な引き出しから、そのときどきの著者の思いや惑いが、ひょいひょいと顔を出す。それと、表紙のネコのイラストが重なる。

ふっくらめのネコの寝姿、でもその表情はちょっと微妙。アレヤコレヤ心悩ますことがどうにもならなくて、とりあえず「寝ちゃおうっと」・・・おっと、つい私自身と重ねてしまった。(^^;

この本は、ブログ「昼寝ネコの雑記帳」に書いた1年間の日記を書籍にしたものとか。そのせいだろうか、あちこちコメントを付けたくなった。

その中の一つ「ときどき心が空白になる」で取り上げられている映画について、以下、私からのコメント。

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あ、それ、フィンランド映画の「浮き雲」ですよね。私の好きな映画の一つです。
同じアキ・カウリスマキ監督の「過去のない男」はご覧になりましたか?
どちらも厳しい状況の中で生きる男女の姿が、静かに丁寧に描かれていて、地味だけどじんわり心が温まる映画だと思います。

その日暮らしのお気楽「徘徊ネコ」の私でも、ときに自分の思いや感情を持て余し、生きるのがしんどいことがあります。いっそ何も感じないほうが楽かも。でも、こうした映画を観て温かくなる心があるのって、やっぱりいいなと思います。「温かくなる」ということは「冷えている」状態があるということですが。(^^;

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2007/07/01

猫毛雨(ねこんけあめ)

『雨の名前』という本の紹介ページで、この言葉を知った。どうも「猫」という字には敏感なようだ。(^^;
たまたまネットオークションでこの本を見つけ、ゲット。

こまかな雨を、猫のやわらかな毛に例えて、こう言うらしい。佐賀や宮崎あたりで使われる言葉とか。本では、「秋の雨」のところに入っているが、昨日の昼間の雨は、まさにこの猫毛雨という感じ。

前日の暑さが少し抑えられ、ほんのり明るい空から、ごく細かい雨が降り注ぐ。傘をささずに歩くのが気持ちよかった。この気持ち良さには、「猫毛雨」という言葉が作用しているに違いない。

『雨の名前』には、その他様々な雨の名前が掲載されている。しばらくは雨の季節。この本を眺めつつ、雨を楽しんでみようと思う。

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2005/07/16

『ひきこもれ』

『ひきこもれ』 吉本隆明
(大和書房 ISBN4-479-39095-2 C0012)

数年前、パソ通の書き込みで「吉本隆明」という名前を目にするまで、私はこの人のことを知らなかった。戦後思想界における大きな存在ということだが、「思想」という言葉自体にも、ずっと距離のあった私。彼の著作や言動に触れることはなかった。

その後、週刊文春の記事で、彼がこの本のタイトル「ひきこもれ」と同様のテーマで語るのを読んで、興味を覚えた。

この本でも、吉本氏は、「ひきこもる」ことで育つものがあると説く。また、ひきこもる人を善意でもって引っ張り出そうとする人の危うさについても語っている。さらに、不登校やいじめ、自殺などについての話。自分のいい加減さ、考えの揺らぎも率直に出しているところが、私は好きだ。

何となく体の具合が悪いとき、だいたいそのまま数日間過ごす。すぐに医者にかかるということを、私はまずしない。何日間かソロソロと過ごしていると、いつの間にか回復している。そんなことの繰り返しで、この歳までやってきた。病院の診断で何とかと病名がつくと、その病気に本当に罹ってしまうような、そういう気がしている。それで、何となく病院を避けてしまう。それで済んできた。済ませてきた。そんなことをしてて、いずれ取り返しがつかない事態を招くことへの恐れは、もちろんあるけど。(^^; 

同じようなことが、世の中のことでもあるような気がしている。例えば、「いじめ」とか、「ひきこもり」とか、それから最近出てきた「ニート」とか。その言葉がマスコミで連呼され、一般化され、一様に「解決すべきもの」となっていくことに、違和感を覚える。ほんの少し具合が悪いだけなのに、「病名」がついたために、本当に「病気」になってしまうような。

そんなことをボヤッと思っているものだから、この本の内容には、うんうんと頷くことが多かった。

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